第6章 仕事英語を身につける 1 【6/8】

情報を確実に相手に伝える手段

 

6.4. 情報発信文例1:いろは株式会社からXYZ Corporationへ

 

 それでは上の6つのルールと事前準備で行う事柄を踏まえ、6.2で挙げた、中国へ自社製品の委託生産を検討しているいろは株式会社の近藤さんから中国のXYZ Corporationの李さんへ送る文書を構成していきましょう。 (このケースの設定条件の確認は、こちらから。)

 

   Dear Mr. Li,

   Thank you for providing us with a proposal on contract   

   manufacturing of our product.

 

   I am sending this email to understand a bit more about the lead

   time between order and delivery you proposed. (→ ここで、こ

   の連絡の目的を明確にすると同時に、この1文だけで段落を構成

   し、この目的の文章が目立つようにしています。)

 

   Your proposed lead time of five weeks is too long for us to  

   accept. The longest lead time we could possibly accept is

   THREE WEEKS. If it is longer than that, then I am afraid we

   see no benefits of outsourcing our product.

   (→ この段落で言いたいこと、つまり何が問題であるかを全てま

   とめています。また、「THREE WEEKS」を大文字表示にして、今

   問題視しているギャップが何なのかを視覚的に明確にしていま

   す。)

 

   Having said above, we would like to work with you to find

   mutually agreeable alternatives. In order for us to better

   understand the your situations, could you please provide inputs

   to the following questions? 

   (→ ここで新しい段落にして、話が展開していることを示していま

   す。また、お互いが納得できる道を見つけたいことを伝え、いろは

   株式会社がこの業務提携に対して積極的であることも伝えていま

   す。)

 

   1. What are the reasons for proposing the five-week lead time?

   2. Is it possible to shorten this lead by two or more weeks?

   3. What conditions (if any) need to be changed or added to

    shorten the lead time as I am requesting?

   (→ 箇条書きのリストを用い、李さんに教えてほしい情報は具体  

   的に何なのかを伝わりやすくしています。)

 

   Since we are planning to make our decision in a few weeks,

   could you please provide your inputs by next Wednesday at

   noon Japan time? If you have any questions or need

   clarification, please contact me at any time.

 

   Thank you very much for your support and understanding. I look

   forward hearing from you soon.

   (→ 上の2つの段落は、期限を設定しそれを伝えることがメインで 

   すが、一方的にお願いしているのではなく、できることは協力する

   姿勢である近藤さんのセルフ・ポジショニング築く場にもなっていま

   す。また、協力する姿勢を表すことで、最悪のシナリオである返答

   が来ない状況を阻止する狙いもあります。)

 

   Best regards,

   Shiro Kondo

 

 

6.5 情報発信文例2:マルボシ商事からCenterline Corporationへ

 

 今度は全く別の状況を設定して、海外のカウンターパートに伝える情報を構成してみましょう。

 

 状況設定

  ■ マルボシ商事の鈴木浩二さんが、アメリカにある Centerline

    CorporationのSam Robinsonさん(サム ロビンソンさん)に連絡

    をする。

  ■ マルボシ商事はCenterline Corporationが開発しアメリカで販売

    している電動歯ブラシ(製品名:ETB Clean)を日本に輸入すべく

    準備を進めている。

  ■ Centerline Corporationは、これまで日本市場には参入できてい

    なかった。マルボシ商事との提携で日本市場向けの販売網を構   

    築できることになるので、非常に大きなチャンスだと考えている。

  ■ マルボシ商事は、以前から取引している家電量販会社3社に電

    動歯ブラシを販売してもらうよう話を進めていたが、そのうち1社と

    の交渉に時間がかり、まだ契約を結ぶことができていない。

  ■ 他の2社とは既に合意に至っており、2か月後に販売開始予定に

    なっている。これを受け、マルボシ商事は製品の確保のために、

    数日前Centerline Corporationに2,000本を発注した。

  ■ Centerline Corporationには初回の発注は3,000本と伝えていた

    が、残りの1社と契約がまだ結べていないため、マルボシ商事の

    判断で2,000本に変更した。

  ■ 残りの1社とも合意に至るめどは立っているが、販売開始時期な

    どの詳細はまだ不確定。在庫を長期間抱えたくないので、残りの

    1,000本については、詳細が決まり次第発注しようと考えている。

  ■ 一方Centerline Corporationでは、マルボシ商事が発注した電動

    歯ブラシの数量が、当初の計画で伝えられていた3,000本から

    2,000本に突然変更されたことが問題になっている。

 

 

  

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